酢豚ちゃん
強制女装的な話とか。
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――タレント本。それは教祖というべきタレントと信者(=ファン)をつなぐ"経典"。その中にはどんな教えが書かれ、ファンは何に心酔していくのか。そこから、現代の縮図が見えてくる......。
まいど、ワイや。松山基栄(まつやまもとえ)や。「誰や」て? 杉本彩の本名やがな。嘘や思たらウィキペデアで調べてみいや。「地味な本名」やて? 「男みたいな名前」やて? おぉ、よう言われたわ子どもん時から。しっかし、よう平気で人のトラウマほじくってくれよるなあ。ええわええわ、もう逆に「おおきに」やわ。今ワイ結婚して満たされてるよってな。余裕やわ。
「エロスの伝導師」やら「日本人ラテン化計画推進委員長」やら言われて久しいけどな、ワイ、ホンマは半分おっさんやねん。テレビでも著書でもよう言うてるやろ。「私の中にはおっさんがいるんです」「私の中の男前な部分が」ちゅうて。それがワイや。今日はほかでもない、ワイと杉本彩が共同執筆した『いい男の愛し方 ~心も体も虜にさせる20ヵ条~』(朝日新聞出版)のレビューちゅうことで呼ばれて来たんや。今日は基栄(もとえ)のおっちゃんが彩ちゃんの代わりに話すさかいな。よう聞いてや。
ワイの「女」の部分はなぁ、小ちゃいころからホンマ苦労したで。うちの実家・松山家ちゅうんがな、これまた難儀な家でな。特にオカンが依存体質でな。家庭の事情が複雑で......15ん時、自殺未遂までしてもうてな。何を思たか親が「基栄」なんて男みたいな名前つけよってからに。役割としては長女やない、長男や。ホンマ難儀やで。16ん時から自立しとんやでワイ。か弱い少女が16から自立して、オカンやら妹やらに寄っかかられて。せやからワイ、こないなってもうたんや......。
16歳からモデルやって、21歳で「学園祭の女王」言われてブレイクして。ハイレグ着て網タイツ穿いてソバージュの髪なびかせて。ほんで家帰ってひとり泣いて。でまた次の日ハイレグ着て網タイツ穿いて。「もう、なんやねんっコレ!!」ちゅうてな。一人歩きする虚像と、女であることに嫌気がさしてもうて。「もう嫌や! 乳取ってまいたいわ!!」ちゅうぐらい追いつめられとってん。せやからワイ、こないなってもうたんや......。
24歳でミュージシャンと結婚したんやけどな、あんじょう(うまく)いかなんだ。途中でまた家族の問題が降りかかりよってな。京都からオカン引き取って旦那と3人で暮らしたんやけど、オカンがうつ病になって、関係ぐっちゃくちゃなってもうて、旦那とはセックスレスやったしな。もう何もかもうまくいかんくて。自分を押し込めて、抑圧して。せやからワイ、こないなってもうたんや......。
ほんで、そんな時に出会うたんがラテンダンスと、それから今の旦那やねんな。女のツボ押されて、閉じ込めとった杉本彩の「女のマグマ」の部分が一気に噴火したんや。この2者との出会いがなかったら今のワイはおらん。「女」の部分が充実しとるからこそ、「おっさん」のワイが生き生きしとれんねや。逆もまたしかりや。杉本彩と松山基栄が仲良う手ぇ繋いで共存してこそ、幸せやねん。基栄のおっちゃんが「彩ちゃん、ええで~奇麗やで~、もっと出していこ! もっと女汁出していこ!!」ちゅうて。これを端から見たら「セルフ・プロデュース」っちゅうんかいな。自由な女性の体現者として彩ちゃんが出ばる。商いの時にはワイが出ばる。舐められたらアカンさかいな。
......で、何の話やった? あーせやせや。『いい男の愛し方 ~心も体も虜にさせる20ヵ条~』やったな。せやけどまぁ、ぎょうさんええこと書いたあるで。いくつか挙げてみるよってな。どれ(指を唾で濡らしてページをめくり)。
「"男を虜にする"ということは、男に愛という最上級の贈り物と、エロスという魅惑の贈り物を与え続けるエネルギーと努力、人生の共犯者としての覚悟が必要なのである。それは、男に所有されているような、飼われているような類いの女には、絶対に無理なことなのだ」
要するに何からも縛られず、「自由であれ」っちゅうこっちゃな。自由主義、これが何よりや。リベラルライフやで。ワイみたいなおっさんが棲ましてもろとんのも彩ちゃんが既成概念にとらわれず、あくまでも自由でおるからや。その自由さ、「ひだの多さ」からこそ真のエロティシズムが生まれるっちゅうこっちゃ。
「女は昼の顔と夜の顔をもち、魅惑的に自分を演出しなければならないと思うのだ。その二つの顔のギャップは、大きければ大きいほどステキである」
これや。この切り替えや。まぁせやから、ワイの出番は昼間だけで、夜は追い出されるさかい、夜どないな「エロス」にまみれとるかは想像しかできひんけどな。まーしかしアレや、こんなパッチに腹巻きのおっさんとの「対局」ちゅうたらあんた、「推して知るべし」や。昼間おっさんでおればおるほど、夜は......っちゅーことやであんた。どへへ。
「いい男がいないと嘆いたりしないで。私が立派にいい男に育ててあげる、というくらいの男前な気持ちで恋愛にのぞんでみてはどうでしょうか」
「アメとムチをバランスよく使い分けられないと、アメの美味しさは半減してしまう」
ワイも今の旦那はようどつきまわしながら育てたったわ。旦那が「君のために煙草をやめる」言うとったのにやな、ある日ワイが見てへん思て隣町を歩き煙草しながらフラッフラ歩いとんねん。ほんでパチンコ屋に入りよって。ワイ、後ろからつけてパチンコ屋入って「ワレ何しとんねん!!」言うて後部から思いっきりバチコーンどついたってん(※1)。ま、素直でええ子やけどな。ワイを守ってくれる番犬みたいな子やで(※2)。週刊誌の取材攻勢からも守ってくれよったしな(※3)。
「ただキレイなだけの女では、男はすぐに飽きるもの。敏感に反応し、官能する女に、男は触発され、探究心を覚えるのだ」
「男を、心の底から満足させるには、二人で性の喜びを見つけること」
彩ちゃん、旦那から求められたら断ったことないねん(※4)。どんなに疲れとっても頑張ってまうんや。ちなみに映画『花と蛇』はマーネージメントもやっとった今の旦那が進めた話やねんで(※5)。自分の女が亀甲縛りされとんの「見たい」言うんや。おもろいやろ? 彩ちゃんも「木こりに抱かれたい」やら「1週間風呂に入ってないADに抱かれたい」やら色々言いながら、ホンマは旦那一筋やねん。おもろいやろ?
せやからみんなも、彩ちゃんを手本にしてやな、昼と夜の顔使い分けてやな、「インテリジェントな雌豹」になってやな、抱かれていかなアカンでしかし。正味の話。
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